ABI検査
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- ABI(足関節/上腕インデックス)は、足関節と上腕間の最高血圧の比率です。
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- この測定は通常の血圧測定と同じですが、ここでは聴診器の代わりに超音波ドプラ血流計を用い血流音を聞きます。
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- この検査は簡単な手順で最高血圧を測定するだけで十分です。
ABI検査の意義
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- ABI検査は命に関わる潜在的な末梢動脈疾患(PAD)を敏速かつ効果的にスクリーニングするための検査プログラムです。
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- 非侵襲的・簡単であり、また、検査コストを低く抑えることが出来ます。
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次に上げる危険因子を持っている全ての患者にABI検査をすることをお勧めします。
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- 65才以上
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- 糖尿病
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- 高血圧
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- 体重過多
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- 不活性もしくは寝たきり
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- 高コレステロール
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- 心臓病または脳溢血などの脳血液供給障害家族病歴
ABI検査を実施してはいけない場合
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- 患者の医学的禁忌部位では血圧測定してはいけません。
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- ABI検査をすべきかどうかに関する全ての質問は医師と相談して下さい。
ABI検査が行えない場合
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- 動脈への石灰沈着により足関節圧が計測出来ない場合があります。
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- 上記の患者の場合、高いカフ圧でも血流を止めることが出来ない場合があります。
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- この場合ABI検査による診断は適用出来ません。
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- 上記の結果は患者さんに対して、別の検査の必要性を意味します。

聴診器型超音波ドプラ血流計
IMEX ステソドップ
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- 超音波ドプラ血流計
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- 超音波ジェル
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- カフ
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- 血圧マノメータ(水銀血圧計など)
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- ペン・紙・ABIチャート
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- AHA(アメリカ心臓学会)では肢直径より20%幅広のカフを推奨しています。
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- 一般的には上腕・足首それぞれ10cmのカフを用います。
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- 肢が大きな患者には12cmカフを、小さな患者には6.5cmカフを用います。
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- 動脈音と静脈音を聞き分けることが非常に重要です。
動脈音の特徴
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- 動脈音は全て心拍に同期しています。
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- 動脈音は律動的な”素早い”音です。
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- 血圧を測定するときには常に動脈音であるか否かを確認して下さい。
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- 動脈音と静脈音を聞き分けることが非常に重要です。
静脈音の特徴
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- 静脈音は動脈音と明らかに異なります。
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- 静脈音は自発的です。
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- 静脈音は呼吸により変動します。
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- 静脈音は木の枝を吹き抜ける風のような音です。
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- 患者さんに仰臥位になって落ち着いて貰います。
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- 靴下などを脱いで貰います(但し暖かくしておきます)。
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- 適正サイズのカフを患者さんの上腕の中央に巻きます。
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- マンシェット型血圧計を装着します。
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- 右上腕部位に超音波ジェルを塗ります。
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IMEXステソドップはプローブ面を皮膚に垂直に当てるだけで血流が聞き取れます。
- ペン型プローブの場合、ペンや鉛筆の様に握り患者の腕上方に向くように角度を付けて聞き取ります。
- ほとんどのプローブではその角度は45度から60度にします。
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- IMEXステソドップはプローブに角度を付けずに垂直に当てるだけです。
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- プローブを固定するために、患者の腕の上に検者の手を置くと良いでしょう。
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- プローブの測定位置を探すには、動脈の拍動音が聞こえるまで上腕部位を横断する形でゆっくりプローブを動かします。
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- 一旦動脈音が聞こえたら、出来るだけ大きな信号が得られるようにプローブを調整します。
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- 血流のよく聞こえる場所にプローブをしっかり固定しておきます。
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- 血流が聞こえなくなるまでカフを加圧します。
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- カフを加圧し続けると血流が停止し血流音が中断します。
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- カフ圧を上げ続けても血流が停止しない場合は、例えば血管が動脈硬化を起こしていたり、何かの原因により血管が塞がらないということを意味しています(ただし、上腕血圧測定時にこの様な現象はめったに起こりません)。
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- マノメータの目盛りを読みながら、且つ再開する最初の音に聞き耳を立てながら、ゆっくりカフ圧を下げます。
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- 最初の血流音が聞こえたところが最高血圧です。
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- カフの脱気をし、素早く0mmHgに下げます。
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- 最高血圧を記録します。
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- 対側上腕に同手順を繰り返します。
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- 足関節圧の測定に相応しい位置は2箇所あります。
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Posterior tibial artery 後脛骨動脈
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Dorasalis pedis artery 足背動脈
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- 多くの検者の方々は、後脛骨動脈で測定されています。
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- 後脛骨動脈で測定出来ない場合は、足背動脈で測定します。
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- どちらも計測した場合は、高い値をインデックスとして用います。
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- 適正なサイズのカフを選択します。
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- 足の直ぐ上、足首にカフを巻きます。
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- カフにマノメータを取り付けます。
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- 足関節のすぐ後ろにジェルを塗り、プローブの先端を置きます。
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- 脚の上に45から60度の角度を付けてプローブを当てます。
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- 脛骨の下、足関節の中央近辺で、ゆっくりプローブを動かします。
- 1
- 親指と第2指の間、および、足の上方中間の足部にドプラ・プローブを置きます。
- 2
- この動脈は骨とプローブに圧迫され、血流を止めやすいので軽く押し当てます。
- 1
- 検者は患者の足に手を置きます。
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- 後脛骨動脈もしくは足背動脈の皮膚表面にジェルを塗ります。
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- 患者の足関節を回外させます。
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- ペンや鉛筆を握るようにプローブを保持し、患者の脚方向に角度を付けます。ステソドップの場合は角度を付ける必要はありません。
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- プローブを安定させるために患者の足に手を置いても構いません。
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- 動脈の拍動音が聞こえるまで、プローブをゆっくりと、足背動脈または後脛骨動脈を横切って動かします。
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- 一度動脈音が聞こえたら、プローブを可能な限り高い信号が聞こえるように調節します。
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- 信号を見つけ、その状態で固定し、、カフの加圧を始めます。
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- カフ圧を加圧し続けると血流が停止し血流音が中断します。
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- カフ圧をあげ続けても血流が停止しない場合は、例えば血管が動脈硬化を起こしていたり、何か他の原因により血管が塞がらないということを意味しています。
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- マノメータの目盛りを読みながら、聞こえ始める血流音に注意してゆっくりカフ圧を下げます。
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- 最初の血流音が聞こえたところが最高血圧値です。
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- カフの脱気をしてカフ圧を0mmHgにします。
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- 読みとった圧力を記録します。
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- 反対側の足関節にもこの手順を繰り返します。
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- 両側の上腕圧を測定します。
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- 上腕圧の高い値を用い、その値で左右のABIを計算します。
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- ABIの計算にはABIチャートを利用します。
右側ABIの計算
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- ABIチャートの左縦行で、上腕血圧に最も近い値を求めます。
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- ABIチャートの右足関節血圧に最も近い値を求めます。
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- 求めた行と列が交差するボックスが右側のABIを示します。
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- 電卓で右足関節の血圧を左または右上腕血圧の高い方の値で割ります。
右側ABI = 右足関節血圧 / 高い方の上腕血圧
左側ABIの計算
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- ABIチャートの左縦行で、上腕血圧に最も近い値を求めます。
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- ABIチャートの左足関節血圧に最も近い値を求めます。
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- 求めた行と列が交差するボックスが左側のABIを示します。
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- 電卓で左足関節の血圧を左または右上腕血圧の高い方の値で割ります。
左側ABI = 左足関節血圧 / 高い方の上腕血圧
【注意】ここでいう血圧値は全て収縮圧 (SystoricPressure)をさします。
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- 疾患の重篤度の判定基準です。
ABI値※ |
判定基準 |
0.96以上 |
0.71~0.96 |
0.31~0.70 |
0.00~0.30 |
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※ 得られたABI値の最も高い値を用います。
Reference: Buchbinder & Flanigan, "Arterial Disease of the Lower Extremities," Diagnosis, (Sept.1986)
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- 患者さんには検査に先立ち、暖かく心地良い環境で、数分間仰臥位で落ち着いて頂きます。
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プローブを持つときはペンや鉛筆のような角度で持ちます。
- ほとんどのペン型プローブでその角度は45度から60度になります。
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IMEXステソドップでは角度をつける必要がないことを忘れないでください。
- その代わりに、プローブの表面を動脈に沿って、また肌に対して水平に置きます。
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患者の上に検者の手を置き安定させます。
- カフの加圧/減圧中プローブを安定に保持する練習をして下さい。
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- プローブをゆっくり動かし、動脈音が聞こえたら動きを止め、そして最も鮮明な信号が得られる様にプローブの位置を微調整します。
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- 血流音が消えだしたら、プローブをできるだけ安定に維持します。