Dense Array EEGによる睡眠研究

睡眠が、認知過程・発達変化、健康一般とどのように相互作用をするのかを解明することは過去10年間、大きな関心を生んできました。

EGIの最先端Dense Array EEG(以下、dEEG)技術は、睡眠がどのように行動および認知過程と相互作用をするのかという研究に大きな前進をもたらすことが可能となりました。それは、このdEEGシステムが従来のEEG技術と比べて、より優れた頭皮データの空間分解能を提供し、研究者が脳活動パターンのより繊細な変化を観察できるようになったためです。


Slow Waveパターンの発見

睡眠研究ではdEEGを使うことによって、睡眠パターン上の微細なトポグラフィ的変化を調べることが可能になります。

たとえば、Massimini et al.(2004、※7)は256チャネルEEGを用いて、1Hz以下のゆっくりした振動(Slow Oscillations)が、終夜検査の被験者において、開始部位と伝搬パターンで再現性のある、いわゆる“traveling wave”として頭皮上に現われることを論証しました。

その後、Murphy et al.(2009、※8)は、dEEGを用いて睡眠中Slow Waveのソース解析を行い、Massiminiの頭皮解析からの結論を裏づけています。

そしてまさに今年、ひとつのdEEG研究が報告されました。それはプロポフォール麻酔から得たSlow Waves(以下SW)と自然な睡眠から記録されたSWを比較し、自然に発生したSWとプロポフォールSWとは空間的および行動的に異なるという研究です。(Murphy et al.,2011、※9)

睡眠及び学習における新たなデータ

EGIのdEEGシステムを用いるもうひとつの興味深い手段は、睡眠に関連する学習過程の研究です。

Ferri et al.(2008、※1)は、繰り返して行う課題をこなした後の睡眠にみられる周期的に交互に発生するパターン(CAP)を研究し、CAPが睡眠中に発生する認知処理にとって重要であると結論づけました。

同様に、Huber et al.(2004、※2)は256チャネルEEGを用いて、睡眠中に4Hz以下のSWA(Slow Wave Activity)は局所的に増大することが可能であり、タスクの成果向上と相関関係があることを確認しました。

Huber et al.(2006、※3)は、「Nature Neuroscience」の論文を追跡調査し、日中、腕を固定した状態の時の睡眠でSWAが局所的に低下がみられるのは、シナプス強度が局所睡眠定常性(恒常性)と関連があることを示唆しました。

睡眠中のてんかん様活動

EGIのdEEGシステムは、睡眠中に発生するてんかん様活動を研究するためにも用いられています。

以前の動物研究では、棘徐波発作は睡眠中に皮質での1Hz以下のゆっくりした振動(Slow Oscillations)から出現しえることを立証しています。

Tucker、Waters and Holmes (2009、※4)は、ある患者の左前頭極と左側頭葉での全般性棘徐波発作は、皮質スロー・オシレイションを受けて、このてんかん様活動が起こったということを示す症例研究を提示しました。

睡眠中の発達認知プロセス

さらに、dEEGは睡眠中の発達認知プロセスを評価するために使用することもできます。

Kurth et al.(2010、※5)は、睡眠中のSWA(Slow Wave Activity)における部位変化の測定は、皮質成熟における部位変化を評価できるかどうかを研究するために、128チャネルdEEGを使ってきました。

そういった研究の中で彼らは、SWAにおける後ろから前への移動が、幼児初期から青年後期において観察され、それは皮質の成熟を反映する可能性があると報告しました。

Anja Geiger et al.(2011、※6)によって「SLEEP」に最近発表された論文では、特徴のある睡眠パターンが観察でき、知的能力を示されることがあると指摘しています。

EGIは睡眠におけるさらなる研究を支援し、dEEG技術の一貫した開発に取り組んでおります。

わたくしたちEGIは、dEEG技術が睡眠分野全体として前進することを可能とした将来性に期待しております。

引用文献

  1. Ferri, R., Huber, R., Arico, D., Drago, V., Rundo, F., Ghilardi, M.F., Massimini, M., Tononi, G. (2008). The slow-wave components of the cyclic alternating pattern (CAP) have a role in sleep related learning processes. Neuroscience Letters, 432, 228-231.
  2. Huber, R., Ghilardi, M.F., Massimini, M., Tononi, G. (2004). Local sleep and learning. Nature, 430, 78-81.
  3. Huber, R., Ghilardi, M.F., Massimini, M., Ferrarelli, F., Riedner, B.A., Peterson, M.J., Tononi, G. (2006).Arm immobilization causes cortical plastic changes and locally decreases sleep slow way activity. Nature Neuroscience, 9(9), 1169-1176.
  4. Tucker, D.M., Waters, A. Holmes, M.D. (2009). Transition from cortical slow oscillations of sleep to spikewave seizures. Clinical Neurophysiology, 120, 2055-2062.
  5. Kurth, S., Ringli, M., LeBourgeois, M., Jenni, O., Huber, R. (2010). Mapping of Cortical Activity in the First Two Decades of Life: A High-Density Sleep Electroencephalogram Study. Journal of Neuroscience, 30(40), 13211-13219.
  6. Geiger, A., Huber, R., Kurth, S., Ringli, M., Jenni, O., Achermann, P. (2011). The Sleep EEG as a Marker of Intellectual Ability in School Age Children. Sleep, 34(2), 181-189.
  7. Massimini, M., Huber, R., Ferrarelli, F., Hill, S., Tononi, G. (2004). The sleep slow oscillation as a traveling wave. The Journal of Neuroscience, 24(31), 6862-6870.
  8. Murphy, M., Riedner, B.A., Huber, R., Massimini, M., Ferrarelli, F., Tononi, G. (2009) Source modeling sleep slow waves. Proc. Nat. Acad. Sci., 106(5), 1608-1613.
  9. Murphy, M., Bruno, M., Riedner, B., Boveroux, P., Noirhomme, Q., Landsness, E., Brichane, J., Phillips, C.,Massimini, M., Laureys, S., Tononi, G., Boly, M. (2011). Propofol anesthesia and sleep: a high-density EEG study. SLEEP, 34(3), 283-291.