近赤外線分光法(NIRS)との同時計測

脳活動に伴う大脳皮質の血中ヘモロビン濃度変化を計測するNIRSを磁気刺激や脳波と組み合わせて行う研究があります。ここでは磁気刺激(TMS)による大脳のヘモグロビン濃度の変化と、てんかん患者で皮質脳波(ECoG)との同時計測の研究を紹介します


・単発TMSによるコイル直下の皮質ヘモグロビン濃度変化1)

ActiveとRelaxの2つの条件で単発のTMSで左M1に刺激を行い、その時のOxy-Hb濃度を測定した。
Activeでは刺激から3-6秒まで小さなOxy-Hb濃度の上昇があり、9-12秒から低下した。
Relaxでは刺激から3-6秒までOxy-Hb濃度は増大しその後ベースラインに戻った。
高頻度TMSではActive条件でM1よりも後方の位置でOxy-Hb濃度の低下が顕著であった。
初期の活性化はM1が経シナプッス的に活性化する時に発生し、後期の非活性化は初期の活性化による大脳皮質の長期抑制によるものかもしれない。

・QPSは同側運動皮質ネットワーク内に周波数依存性の皮質ヘモグロビン濃度変化を誘導する2)

QPSを用いてヒト運動皮質(M1)を刺激して、直下のOxy-Hb濃度を測定した。
QPS5(ISIが5ms)の反復刺激で同側のM1において顕著なOxy-Hb濃度の減少が、単発刺激ではM1及び前運動皮質においてOxy-Hb濃度の低下がみられた。
QPS50(ISIが50ms)ではいずれの場所でも顕著なOxy-Hb濃度の変化は認められなかった。

・補足運動野発作の皮質赤外分光法(NIRS)と皮質脳波(ECoG)の研究3)

補足運動野(SMA)での発作時てんかん性放電の起始部位(SOZ)とその広がりは
短時間で伝搬するために識別が困難である。我々はSMAにてんかん焦点を持った脳腫瘍患者にNIRSとECoGの同時記録を行った。
NIRSによる脳血流の増加は同側のSMAに位置するSOZから観察され、同側の前運動皮質、感覚運動皮質さらに対側半球に広がった。これらのパターンはECoGのパターンとも一致しさらに臨床症状とも一致した。患者はSOZ周辺の切除により症状が改善されている。
NIRS-ECoGの同時計測はSOZ同定に有用である。

引用文献

  1. Toshiaki Furubayashi ,Hitoshi Motizuki, Yasuo Terao, Noritoshi Arai, Ritsuko Hanajima, Masashi Hamada, Hideyuki Matsumoto, ASetsu Nakatani-Enomoto, Shigo Okabe, Akihiro Yugeta, Satomi Inomata-Terada, Yoshikazu Ugawa: Cortical hemoglobin concentration changes underneath the coil after single-pulse transcranial magnetic stimulation: a near-infrared spectroscopy study. J Neurophysiol 109: 1626-1637, 2013.
  2. Stefan Jun Groiss, Hitoshi Motizuki, Toshiaki Furubayashi, Shunsuke Kobayashi, Setsu Nakatani-Enomoto, Koichiro Nakamura, Yoshikazu Ugawa: Quadri-pulse stimulation induces stimulation frequency dependent cortical hompglobin concentration chages within the ipsilateral motor cortical network. Brain stimulation Vol.6 issue 1, 40-48, Jan 2013.
  3. Yosuke Sato, Masafumi Fukuda, Makoto Oishi, Atsushi Shirasawa, Yukihiko Fujii: Ictal near-infrared spectroscopy and electrocorticography study of supplementary motor area seizures. Journal of Biomedical Optics 18(7),076022( July 2013)